いや、だからやっぱボクは暗いキャラじゃないってば。でもまた同じクラスの(・・・えーと誰か忘れたけど、)男子に「暗いなー」とか言われたよ!ボクが暗いって?ありえないありえない。まあこんな感じに学校でひっそりボソボソと日記を書いている事自体見た目的にちょっと、いや、かなり?アレかもしれないけれど、でもいいじゃん!家だと親とか突然入ってきたときとかあって恥ずかしいし、ていうか親に見られたらボク屋上から飛び降りたっていいよ。まあ魔法学校で飛び降りなんてしたら即先生に助けられると思うけど。この前九澄君が屋上から飛び降りて魔法の練習してるの見たし。やっぱそういう魔法あるんだなあって改めて実感だよ。すごいなー九澄君。ああ、もう。また九澄君の話になっちゃってるよ。えーと、そうじゃなくて、・・・そうそうさん!ボクなりにがんばってさんに話しかけようとしてるのにやっぱ難しいねえ。だって女子って無意味に固まってるから一人静かに机に座ってるときって授業中か勉強しているときだしなあ。あ、でもさんが駄目なわけじゃないよ。うんうん。集まっててかわいいね!えーとえーと・・・、 うん、自分をもっと理解することから始めないと。 ボクがこんなあほな日記を書いている間にもさんは楽しそうに笑っている。いつものメンバーの、柊さん、三国さん、乾さんと楽しそうにしている。ああー ・・・てかさんは被害にあったのかなあ。もしそうだとしたらボク、伊勢君をまず影縛りで身動き取れなくした後、学校で一番でかい木まで顔面を一つでも多くの石ですり切れるように引っ張って、そのでかい木のてっぺんら辺に逆さ吊りにしちゃうかも。顔がひどい事になっちゃうかもしんないけど許せ伊勢君。これもさんのため。 「あ!」急にさんの声が聞こえた。どうしたのか真っ青になりながら(正直言うとずっとガン見してました)、ボクの隣の机、まあさん自身の机までやってきた。それにつられて柊さん達もこっちにくる。とりあえずボクはこの日記を彼女達に見えないように置きなおした。 「どうしよ・・・私宿題やってなかった・・・」さんはバックから取り出したノートに顔をうずめた。「あー。そんな事?大丈夫だって。で、誰の?」まさに人生の終わりというようなさんに、三国さんはなんでもないというように言った。「これ柊先生のだよー・・・」これにはボクもピクリと反応してしまった。柊先生はこういう事には凄い厳しい。前に九澄君が忘れた時にも魔法で何かしようとしていたし。(まあ柊さんが止めたけど) それにその教科は少人数制で、さんのグループでは確かさんだけが柊先生の方だ。さんはどんまいって感じだけど、ボクも柊先生の方なので、ボクとしては感謝喝采だよ。 「お父さんのか・・・あ!私とノート交換しようよ!私と、教室違うからきっと戻れとか言われないだろうし!」そう言って、柊さんが自分の所に戻ろうとしたけれどすぐに乾さんが止めた「止めた方がいいんじゃない?すぐにバレて戻されるって・・・」「で、でもバレたとしても罰はきっと私との二人に増えるから・・・」確かに、親子と言えどこういう時には二人でやらせるだろう。「でもさあ柊先生にすごい睨まれそうだよー・・・うちの愛花をそそのかしたな!とか・・・」多分いたって真面目なさんの一言に乾さんと三国さんが笑い出した。「ちょっと!二人とも笑わないでよ!いくらお父さんでもそんなこと・・・」やはり目の前で幾度と見る親馬鹿っぷりは否定できないのか、最後の方がほとんど小声だった。(あ、そういえば柊先生の授業はボクの得意分野だ)そう思い出して、さんにかっこよく「見る?」とか言うつもりだったけれど、「わたし少しならそっちの分も予習してあるよ、見る?」と乾さんが言った。(それボクのセリフ・・・!!) 4人は乾さんの机と移動した。ボクはまた話すタイミングを逃したとため息をついていると伊勢君がボクの肩をつついた。正直まさかこっちの趣味もあるのかと思って、ドキッとしたけれど隣には九澄君もいたし、それに二人ともなにかニヤニヤした顔をしていたのでとらえず「どうかした?」と聞いた。 「どうかした?じゃねーよ。青いなー!お前、のこと好きだろ?」伊勢君が思いっきり核心を突いたからボクは赤くなるとかそういうのを超えて、逆に冷静になれた「えっ・・・なに、いきなり・・・」ほら、驚くほど低い声。かなりノリが悪い。「・・・そんな反応されると返しずらいんだけど・・・」伊勢君が、「なあ」と九澄君に同意を求める。「でも意外だなー。影沼ってそんな事興味なさそう」まあ興味ないというかそういう・・・出会い?がなかっただけなんだけどさあ。「おいおい、それならお前もだろ?柊のこと」その一言にボクは眉をひそめた。「え?もしかして九澄君って、柊さんのこと・・・?」そこまで言うと九澄君は尋常じゃないくらいに慌てた。「ばばばばバカ!てめーなにちゃっかりバラしてんだよ!!」「こいつ的には隠してるみてえだから言うなよ?」そんな九澄君の様子がおかしいのか、ほほえましいのか、伊勢君が言った。そしてなにか続けようとしたのだが、一回さんたちの輪を見ると何か考えが閃いたような顔をした。 「・・・で、これで最後か」乾さんがページをめくった。「やったー!あーもう魔法使っちゃったから手が痛いよ・・・」そう言って手首をひねった。どんな魔法使ったんだろう、気になる。「でも、そんな魔法あるならさっさと言ってくれれば良かったのに。早く写せるじゃん」そう言われるとさんは困ったような顔をした「いやー・・・即書きのとか意味分かんないのをミスってインストしっちゃったから恥ずかしかったんだよ・・・」と言った時に三国さんが声を上げた。(あ、さんの魔法メモっとこ)「あれ?みっちょん、まだあんじゃん。次は?」「・・・え?ちょっと見せて」と乾さんがページをめくる。そして納得したのかあーと言った。「ここ分からなかったんだよ、ごめん」すると柊さんが「あ、そこお父さんが言ってたんだけど一番難しい所なんだって」と言った。「はあ?一番って・・・じゃあできなくてもいいんじゃないの?」 「影沼ってさ、柊・・・先生の宿題やってたか?」突然伊勢君がボクに聞いた。「うん・・・まあ・・・でも自信ないよ」そりゃあさんの前で恥じかくのがイヤで、柊さん曰く一番難しい所だってちゃんとやってある。そう答えたと思ったら急に伊勢君は振り返った。 「おーいそこのレディ達ー!分からないところがあるのー?」 まず三国さんがあからさまに引いた顔をした。乾さんは伊勢君と目があったと思ったらすぐに目を逸らした。さんはと言うと、伊勢君に見向きもしないで机に顔を伏せている。柊さんはそれをなだめているようだ。 「ンだよ伊勢・・・そー言ってお前またセクハラするんだろ?」乾さんが同意というように頷いた。「ちッ・・・違げーよ!信用ないなあ・・・。俺は分からないところがあったんなら教えようかなーってだなあ!」「へえー?学年トップ組みのみっちょんが分からなくて、お前が分かるって、へえー?」伊勢君がゲッと顔をするとすぐにボクの方に向いて、小声で聞いた。「お前学年何位?」「え・・・」言うのが恥ずかしかったのでこっそり指で数を作った。人差し指と中指を立てた。そう、2、ボクは中途半端な2位なのだ。 「ほーら!こっちには学年2位の影沼様がいるんだぜ!」まさかそれを大声で言われると思っていなかったために、ボクは思わず立ち上がった。「い・・・、伊勢君!」止めようにも言った後なためにもう無理だ。ひそひそと周りでなにかをささやかれている気がする。なんかもうイヤだこの視線。絶えられない。 砂になりかけているボクの目の前に、三国さんが来た。「な・・・なんだ・・・。伊勢じゃなくて影沼か。」恐らく伊勢君じゃなくて良かったとでも言いたいのだろうけど、まるでボクが悪いみたいな言い方だった。ショックです。でもこれはまさにさんにボクのノートを貸すチャンス!と思いながらノートを取り出した。無印良品での5冊セットで安かったノート。(そういえばこの前無印でこれを買ったときに、たまたま堤本君にあったんだけど笑いながら「お前っぽい!」と言われたのはなんでだろう。)地味すぎるノートに後悔しながらとりあえず三国さんに渡した。だけど三国さんは受け取ろうとしない。「・・・え?あ、ああー・・・あのさ、あたしじゃなくて、なの。」もしかして自分に渡したと勘違いしたのか(いやそうなんだけど)、ボクとしては渡して欲しかっただけなのに、わざわざさんを呼んだ。 「ー?影沼がノート見せてくれるってー!」 すると先ほどまで机に顔を伏せていたさんが驚くほど早く顔を上げ、こちらに来た。「マ、マジですか!ほんとありがとう!あなた神様だね!」入学前に見た笑顔だ。ていうかさんの方が神様ってか、女神様だってば。ボクはそれを自分に向けられているなんて実感がなかったけれど、無意識に手に持っていたノートを渡した。 そして自分の席(まあ隣)に座ると、パラパラとノートをめくり出した。「わっ影沼くん、ノートまとめ超うま!」「そっそんな事ないよ・・・!」「えー?そんな事言わないでよー」と喋りながらもさんは書き始めた。先ほどの魔法は使わないのだろうか。ちょっとチラチラと横目で何度も見たけれど普通に写している。折角だから魔法の名前もメモろうと思ったのだけど、これでは無理みたいだ。今度図書室で調べてみよう。「すごいなー影沼くん、多分わたしこれ家でやってたとしてもできなかったよー」にこにことした笑顔をボクに向ける。これは夢?これは夢なのか?!まさかこんなノートを書きすぎて夢と実感できないほどの夢まで見てしまったのか!? |